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春期の西洋芝管理について

<お断り>
以下でご紹介する管理方法等は、当社の位置する関東エリアの一般的な(理想的な)条件下で生育する西洋芝を想定したものです。お客様方の気象条件(気温、雨量、日照時間など)や立地条件(日陰の有無、風通しの良否など)、土壌条件(保肥力、排水の良否など)、メンテナンス方法等によっては適切でない場合もございますので、予めご了承の上でご一読いただきますようお願い申し上げます。


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 冬の間色あせしていた西洋芝も、これからの気温の上昇とまとまった降雨に伴い、日増しに青々としてゆきます。芝が伸び始めてからですといろいろと忙しくなりますので、今のうちにじっくりと今年の管理計画を練っておきましょう。そのためには昨年の反省はもちろんのこと、今の芝生の状態をよく観察し、現状をしっかりと把握しておくことが大切です。

■芝生の色はどのような状態でしょうか?
 早いところでは既に葉も緑を取りもどし、芝も徐々に成長し始めていることと思いますが、まだまだ色落ちしたままだという地域もあるでしょう。でも心配はいりません。芝が健康でありさえすれば、気温の上昇とともに次第に以前の緑が蘇ってきます。
 芝の成長が始まりましたら、ぜひ一度、芝生の色を確認してください。これからの時期、さほど重大なトラブルは発生しないはずですが、雪の多い地方ですと雪解けの後、芝生の所々に円形もしくは不定形の変色した部分が発見されることがあります。場合によってはこの変色部分がベタッと地面に張り付いて白く枯れてしまっているかも知れません。このような症状が見られた場合は、ほぼ間違いなく雪腐病(ゆきぐされびょう)が発生したものと考えられます。病気の進行が止まっていればよいのですが、さらに被害が拡大したのではあとあと面倒です。念のためすぐに雪腐病用の殺菌剤を散布しておきましょう。
 雪腐病の画像が会員限定ページにアップしてあります。こちらをご覧下さい。
 また、この時期、芝生の中に緑の濃い部分が所々発見されることがあります。これはその部分だけ土壌中の肥料分が多かったり、土壌水分が多かったりしたためと考えられます。また、犬などがオシッコをしてしまった場所にもこのような症状が現れることがあります。こうした色ムラは後のメンテナンスを工夫する(部分的な施肥量の調整や排水改善などを行う)ことでカバーできますが、大抵は刈り込みを繰り返す内に目立たなくなってくるものです。あまり心配する必要はないでしょう。

■根の色や量、長さはどうでしょう?
 芝を張って間もない場合にはまだ十分に根付いていない場合もありますが、昨年の秋までに張った芝の場合、健全ならば根はすでに十分に張っているはずです。この時期に、一度、根の張り具合や色を確認しておくと良いでしょう。
 春は地上部だけでなく、地下部(根)も伸びる季節ですが、今ある根のほとんどはおそらく昨年伸びた古い根だと思われます。夏越しのことを考えれば、根の伸びる春の内に、できるだけ多くの新しい根(白い根)を土中深くまで伸ばしておきたいところです。そのためにも、春の内に積極的に根を伸ばすような管理作業を行なっておきましょう。そこでお勧めなのが「エアレーション(穴あけ)」作業です。
 エアレーション作業は、根の発育が旺盛な4月頃(寒冷地では5月頃)に実施します。作業方法や使用する器具などは当社のWebページでご紹介してありますのでそちらを参考にして下さい。
 穴あけ後は穴が十分に埋まる程度の目土入れを行ないますが、目土は基本的に床土と同じものを使用します。ただし、床土の砂の割合が高くて肥料や水の保ちが悪いとか、土のままの床土で排水や通気が悪い場合などには、雑草の種子を含まない川砂などに土壌改良材を適量混ぜたものを使用します。手間はかかりますが、エアレーション作業はやればやっただけの効果はあるはずなので、少しずつでも床土を改良してゆきましょう。

■芝生面がデコボコになっていませんか?
 暖かい地域では心配ありませんが、寒冷地ですと冬の間、霜柱や土壌の凍結で芝生の表面が盛り上がってしまうことがあります。特に霜柱で芝生が盛り上がった場合は芝の根が切れ、春先に芝生が傷む原因になることもあります。したがって、被害が深刻になる前に、ローラーや平らな板などで芝生面の凹凸を直しておきましょう。局所的な凹凸であれば、スニーカーなどの底の平らな靴を履き、丁寧に足で踏み固めるのも良いでしょう。

■芝刈り機のメンテナンスは済みましたか?
 気温が更に上昇し、芝の生育が旺盛になりますと、刈り込み作業も頻繁に行うことになります。忙しくなってからではなかなか時間が取れないと思いますので、今の内に芝刈り機のメンテナンスを済ませておきましょう。
 まずはお使いの芝刈り機の刃が磨耗していないかどうかを確認しましょう。問題がなければ細かい部分の清掃をし、刈り高を再調整しておくだけで良いでしょう。もし刃が丸まっていたり、すり減っていたりした場合は刃の研磨もしくは交換が必要です。
 ロータリーモア(プロペラ式回転刃)の場合、可能であれば刃を取り外し、サンダーやヤスリなどで研ぎます。リールモアの場合はリール刃と下刃の当たりを調整し、コンパウンド(研磨剤)を付けた刃を逆回転させて研磨します。しかし、これはちょっと一般の方には難しいかもしれません。自分ではできないな…と思われる方は、刃を新品のものと交換してしまいましょう。おそらく大きなホームセンターでも替刃は取り寄せになると思いますので、注文は早めに済ませておきましょう。
 その他、どのような手入れをすればよいのかは付属の説明書に書いてあると思いますので、是非一度、そちらをご参照下さい。

■春期管理のポイントを押さえましょう
 以下に、春のメンテナンスで押さえておきたいポイントを挙げておきます。

1.刈り込み
 適切な刈り込みは美しい芝生づくりの基本です。春に限ったことではありませんが、必ず芝の種類(芝種)に合った適正な刈り高で刈ってください。ただし、芝刈り機ごとに設定できる刈り高には制限がありますので、もしもお使いの機種が希望する刈り高に設定できない場合は、思い切って芝刈り機を買い替えるか芝種の変更を検討してみてください。もし双方ともに無理な場合は、設定できる範囲で当社の推奨刈り高に最も近い高さに設定しましょう。
 刈り込みの開始時期は、葉が緑を取り戻し、再び成長を始めてからになります。最初は2週間に1回程度から始め、成長が旺盛になってきたら芝の伸びる速さに合わせて適切な頻度で行います。

2.更新作業(エアレーションと目土入れ)
 春から初夏は西洋芝の根が最も盛んに伸長する時期です。来たるべき梅雨と夏を乗り切るためにも、この時期にエアレーションや目土入れなどで排水不良箇所の改善や不陸(地面の凹凸)の修正を行い、芝生と床土を健全な状態に保ちます。
 エアレーションというと床土の通気や排水の改善のみが目的と思われがちですが、穴あけ後に目土入れを行うことは芝の茎葉や根の更新にも大いに役立ちます。
 エアレーションで開けた穴が新しい目土(川砂など)で満たされると、その中に新しい根が伸びてきますが、その根は良好な排水性と通気性によって太く元気な根になります。また、地上部でも目土で茎葉の新たな萌芽が促され、それが穴あけにより生じた新たな空間に広がり、さらに芝の密度が高まります。そのため、更新作業は必ずエアレーションと目土入れをセットで行います。この更新作業によってどれだけ芝を丈夫に、密に仕上げられるかが、芝生の美しさだけでなく、梅雨以降の夏越しの成否にも大きく影響してきます。

3.施肥
 シーズン最初の施肥は、芝の成長が始まり、芝生一面が緑になってから行います。早いタイミングでの施肥はスズメノカタビラなどの雑草ばかりを活性化させ、かえって雑草を増やしてしまうことになります。また、芝生の中に雑草を見つけた場合には、早いうちに根こそぎ引き抜いておきましょう。雑草対策は、何といっても早期防除こそが重要です。
 スズメノカタビラの画像が会員限定ページにアップしてあります。こちらをご覧下さい。
 肥料については、春だからこのタイプをこの量で、ということはありません。芝生用の肥料(細粒の固形肥料や液体肥料など)を適量散布すればよいでしょう。ただ、撒き過ぎだけはいけません。あまり一度に多量の施肥を行いますと、芝の青さは際立ちますが、芝が伸びすぎて刈り込みが忙しくなるばかりか、芝自体も弱々しくなり、後でその反動がくることになります。施肥量に悩んだら、必ず少なめにするように心がけてください。また、施肥は均一に行うことが基本ですが、秋の散布ムラが原因で春先に色ムラが発生している場合は、青い部分だけ散布量を減らすなどの調整が必要です。
 施肥を行うようになりますと、冬期に発生した病気の痕や生育のバラツキなどは大部分が改善されるはずです。それでも回復しないような不良箇所については部分的な張り替えもご検討ください。

4.薬剤散布
 現在、病害虫の発生が確認されなくても、初夏の頃になりますとかなり気温も上がり、新たな病害虫の発生が心配されます。とくに昨年発生した病害虫については病原菌や幼虫が残っていることも十分に考えられますので、5月中に一度、予防散布をしておくことをおすすめします。

5.散水(水やり)
 張ったばかりの芝生でもない限り、春期は雨の日も多いので、それほど散水に追われるということはないはずです。ただ、春風の強い日には芝が乾くことがありますので、芝生の状態を見ながら適宜、散水を行いましょう。芝の葉が細く針状になったらそれは乾燥のサインです。すぐに散水を行ってください。
 散水は水が土中深くまでしみ込むようにたっぷりと行います。そのぶん、散水の間隔はできるだけ開けるようにします。乾燥害を心配するあまりに頻繁な散水を行いますと、土の中のすきまがすべて水でふさがれ、空気の出入りが妨げられてしまいます。そうなると、芝の根が窒息して根腐れをおこしたり、発根が抑制されたりして、根が浅くなるだけでなく、芝の生育にも悪影響をおよぼします。肥料と同様、散水についても「過ぎたるは及ばざるが如し」とお考え下さい。


 以上、春期の管理上のポイントをいつくかご紹介しましたが、大切なのはこの春のメンテナンスの出来不出来が、今春の芝生の状態だけでなく、西洋芝管理にとってのヤマ場である夏越しの成否にまで関わってくるということです。ぜひともこのことにご留意いただき、日々、適切な西洋芝の管理をお心掛けいただきたいと思います。春は、手間をかけた分だけ美しい芝生になってくれる、西洋芝オーナーにとってとてもやりがいのある季節です。どうか手間を惜しまずに、夏越しに備えての万全の準備をお願いいたします。



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