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粒状の固形肥料を散布するために必要となる機具は以下の通りです。
なお、肥料散布のための機械として肥料散布機(散粒機、スプレッダー)が販売されておりますが、小面積の芝生の場合には手撒きでも差し支えありません。肥料散布機の使用は芝生面積が大きい場合やより均一に散布したい場合などにお勧めいたします。
芝生に使用する肥料としてお勧めするのは、粒状の化成肥料と液体肥料です。その中でも特に粒の小さな粒状肥料は芝生の奧深くまで入りやすいため葉焼けしにくく、肥料ムラも少なくなるため、芝生用肥料として適しています。
粒状の化成肥料には成分の多少によって、高度化成(成分量の多い化成肥料)と普通化成(成分量の少ない化成肥料)とがありますが、特別な意図でもない限り、成分の少ない普通化成を使用した方がよいでしょう。芝生への肥料散布で最も恐ろしい失敗は、肥料の与えすぎと肥料焼け(肥料成分の濃度が高すぎて肥料が付着した箇所が変色したり枯れてしまう症状のこと)です。高度化成を使用した場合、それらのリスクが普通化成に比べて高くなります。普通化成であれば、多少のミスも許容されるところがあるので、不慣れな内は普通化成を使用すべきでしょう。
また、肥料は効果の現れる速さによって、速効性肥料と緩効性肥料とに分けられます。速効性肥料は施用すると早期に効果が現れますが、その分、早く効果が切れてしまいます。緩効性肥料は速効性ほどすぐに効くわけではありませんが、じわじわと長く効いてくれるので頻繁に肥料散布を行う必要がありません。よって、お庭の芝生に撒くのであれば、断然、後者の緩効性肥料がお手軽でお勧めということになります。
液体肥料(液肥)も使用時期などによっては大変有用な肥料です。液肥の良さは、水で薄めて散布するため自在に施用量を調整できることや肥料ムラが生じにくいこと、芝が弱って根から養分を吸収しにくくなった場合でも微量とは言え葉面から吸収させることができること(葉面散布用の肥料もあります)などがあります。ただ、液体であるため保肥力の低い土壌では肥料成分が失われやすく、効果の持続性という点では固形肥料には敵いません。芝生の場合にはあくまで使用目的が明確な場合に使用する補助的な肥料だとご理解ください。
上記以外にも、堆肥などを含む有機質肥料、中量要素や微量要素を含む肥料、土壌の酸度調整を兼ねた肥料など様々な肥料があり、それぞれに特徴を持っています。芝生を長く管理していますとそれらを必要とする場合も起こりうるはずですが、基本的には、窒素(N)、リン酸(P)、カリ(K)という三大要素を含む細粒の普通化成肥料で緩効性のものを選び、それを中心とした施肥プログラムを考えてみることをお勧めいたします。その上で、芝生管理の経験と知識を深めながら、ご自分の芝生に合った施肥プログラムを作成し、適宜、改良していくことをお勧めいたします。
以下に粒状の化成肥料と液肥を使用した場合の施肥プログラムの一例(北関東辺りの気候を想定したもの)をご紹介します。(注:表中の「粒状」とは粒状化成肥料のこと、「液肥」とは液体肥料のことを示しています)
以下の例では、窒素量にして1年間で20g/m2の施肥が必要となっておりますが、これはあくまで一つの目安で、実際には、お住まいの地域の気候や刈り込みの頻度、芝の種類や生育状態、床土の土質や肥沃度などに合わせて総合的に判断し、上手に調整する必要があります。さすがに経験を積みませんとどの程度加減すべきかの判断は難しいかと思いますが、とりあえずは少量ずつ、芝の伸びる速さや葉色を見ながら施用してみると良いでしょう。とにかく、肥料は一度与えてしまうと後で減らすことができません。足りない分にはいくらでも後で追加できますので、判断に迷ったら少量ずつ、何回かに分けて与えるようにしてください。
なお、下記の施肥プログラムは窒素成分だけを基準としたものですが、芝の健全な生育には窒素以外の成分も必要になります。初級者の段階で使用するのであればN-P-Kの成分比が8-8-8や10-10-10といった水平型の化成肥料(粒状肥料の場合)がお勧めとなりますが、中級、上級を目指すのであれば、N-P-Kの成分比が異なる肥料やカルシウム、マグネシウム(苦土)などの肥料、その他の微量要素肥料、更には葉面散布用肥料や糖類、アミノ酸、サイトカイニンなどを含む生育活性剤なども用意して、芝の生育ステージや生育状態(根の状態)、季節や天候などに応じた使い分けに挑戦してみましょう。
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 合計 | |
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化成肥料(8-8-8) | 0 | 0 | 20 | 35 | 35 | 25 | 10 | 10 | 20 | 40 | 35 | 20 | 250 | 上記の窒素成分量 | 0 | 0 | 1.6 | 2.8 | 2.8 | 2.0 | 0.8 | 0.8 | 1.6 | 3.2 | 2.8 | 1.6 | 20 | 肥料のタイプ | - | - | 粒状 | 粒状 | 粒状 | 粒状 | 液肥 | 液肥 | 液/粒 | 粒状 | 粒状 | 粒状 | - |
肥料の撒き方として第一に心掛けたいのは、肥料を芝生全体に均一に撒く、ということです。そのためには肥料散布機を使用することが最も簡単かつ確実ですが、小面積の芝生では大袈裟な印象も否めません。手撒きであっても、工夫次第ではかなり均一な散布も可能ですので、ここでは手で粒状肥料を撒く方法について簡単にご紹介いたします。
写真8.バケツに肥料を移します | 写真9.手で満遍なく散布します | 写真10.均一に撒きましょう | 写真11.散布後は散水します |