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コース管理外注化の要点

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ゴルフ場芝草管理のコストと品質 ゴルフ場芝草管理のコストと品質

1.はじめに

ゴルフ場が構造不況業種と呼ばれ続けて数年が経ちますが、ゴルフ場の売上げ減少の傾向は、まだ底の見えないのが現状のようです。そうした中で、ゴルフ場の生き残り策として、売上げ増を目指しながらも、経費を最小限に削減するということが否応無しに求められてきています。

しかしながら、売上げ増が非常に難しいという現実が片方にあり、経費の削減をどこに求めるかということが、ゴルフ場経営の中での最大の要点となっているようです。ゴルフ場の経費削減では、芝草管理費も当然のことながら対象となるわけですが、管理費の削減はゴルフコースそのものの品質の低下という問題が伴ってきます。このコース管理費をどのようにしたら削減でき、また、削減によってどのような問題が発生するかについて考えてみたいと思います。

2.コース管理部門におけるコスト削減の考え方と問題点

(1)コース管理の現状を把握する

まず、コスト削減に当たって何よりも大切なことは、コース管理の現状を正しく把握することです。これには、コースの状態診断は勿論のこと、人件費、資材費等の各費用項目別の詳細な分析や、コースの土壌条件、地形、芝草の種類等、管理コストに関わる各種データの分析なども含まれます。

それら各項目を種々検討、分析した後、はじめてコース管理コストの見直しに入ります。こうした資料の収集と検討が十分でなければ、従来のコース管理における無駄な部分の指摘ができず、削減の方策を立案することも困難になります。

(2)コストの一律削減をしない

コース管理費用の削減に当たっては、例えば10%とか20%の金額削減の提示があったとしても、どの部分を削り、そのためにどの程度の品質の低下が予測されるかについて検討されなければなりません。つまり、ここならば削れる、またこの部分だけは絶対に減らせない、というところが必ずあるはずで、そこをうまく見つけ出すことが最も大切なのです。こうした作業が適切に行われていなければ、どの部分にメスを入れるかという判断は難しいわけで、全ての経費を10%とか20%減らすという単純な問題ではありません。

こうした検討もされないまま費用額だけを低く抑えるという方法では、必ずやそのしわ寄せが管理品質の著しい低下という形で現れることになり、最終的には経費の無駄使いにもなってしまいます。

(3)特にグリーンの品質の低下を最小限に抑える

ゴルフコースの芝草管理にとって、見た目の美しさという要素は非常に大切なことです。しかし、当然のことながら、管理費の削減が限度を超えてしまいますと、ゴルフコースの品質低下が起きてきます。こうした場面では、管理をする側の能力やセンスといったものがいつも以上に問われることになり、その有無や良し悪しがコースの見た目を大きく左右してしまいます。経費削減を行いつつも、コース品質の低下が見られないような管理がなされた場合、これは管理者の優れたセンスと高い技術による成果として高く評価されて然るべきです。

ゴルフコースの品質の内で最も重要性が高いものは、やはりグリーンのパッティングクオリティーということになります。ティグラウンド、フェアウェイが100%の品質であっても、グリーンがレベル以下であっては、ゴルフコーストータルの品質もレベル以下と言わざるを得ません。特に近年、アマチュアゴルファーのグリーンの品質に対する評価にはかなり厳しいものがあり、しかも評判はすぐに他のゴルファーにも伝わりますから、例え大幅な費用削減を行ったにせよ、グリーンの品質には充分に配慮しなければいけません。

(4)経費配分のバランスを考える

あるゴルフ場のコース全体の評価が10段階中、6の評価であるとした場合、ラフの評価が9、ティグラウンドが2といった評価が出たとすれば、これはバランスの良い管理(経費の使い方)とは言えなくなります。

確かに、地形がフラットであったり、樹木が少なかったりしますと、機械力をフルに発揮できますので、少ない人数で効率良く管理が行え、全体的なバランスの取れた美しいコースとなりますが、日本ではそのようなコースはほんの僅かで、大部分のコースがそれぞれに固有の悩みや問題を抱えているようです。ですから、こうしたコースでは、全体のバランスを取るためにも、コース事情に合わせた経費配分を考えることが重要となります。例えば、ゴルフコースの地形、土壌条件、気象条件によって、人件費がどうしても大きく削れない場合や、グリーンの床土が悪いために各種の病害や種々の障害が発生する場合などは、費用をそこに集中的に配分することにより、ゴルフコース全体のバランスを保つことが必要になります。

(5)管理者の技術力アップを図る

コスト削減を進めるに当たっては、管理技術の向上が極めて大きな要素であり、最後はこの一言に尽きるとも言えます。

日本のグリーンキーパーの技術は、20年前位から見ると明らかに向上してきており、アメリカのゴルフコースの管理状態などを見ても、同じ条件ならば日本のキーパーの方が優れているのでは、とさえ思います。しかしながらこれは、これまでがある程度経費的に恵まれた環境にあったからであって、今日のようなコスト削減を主眼としたコース管理については、ほとんどのキーパーが未経験であるはずです。現在、彼らには新たな発想への転換と種々の面での更なる技術力の向上が求められてきており、それらの達成なくしては、管理コストの削減はできたにせよ、結果は決して良いものにはならないはずです。

今日のゴルフコースの芝草管理には、人的資源の有効利用から目土に使われる砂の選択まで、実に幅広い技術と経験が要求されており、また、それら全てが管理コストに直に関わってきています。ベテランキーパーが持つ長い年月を経た様々な経験と技術の価値は計り知れないほどですが、例えキーパー個人の技術が完璧なものであっても、実際に作業をする一人一人の技術がそれに伴わなくては、決して100%の力は発揮できません。当然、グリーンキーパーの指図を100%理解した上での作業と、指示されただけの作業を実行するのとでは、結果に大きな開きが生じてきます。つまり、グリーンキーパーは自身の知識向上に努めることは勿論のこと、それらの知識を作業員全員に伝え、正しく理解させることにも鋭意努力しなければならないのです。

また、コスト削減のためには、10人の作業員が15人分の働きをすることも必要でしょう。ただし、これは10人が1.5倍の時間を働くことでも、各人の負担が1.5倍になるということでもありません。これはすなわち、一人一人が明確な意識と正しい知識を持って作業することにより、従来の1.5倍の作業効率を達成するということなのです。それには、作業員全員の機械操作等のテクニック向上は勿論ですが、芝草に対する知識の向上も不可欠です。

このように、真のコスト削減を達成するには、グリーンキーパーのみならず、管理者全員の意識の向上と持続的な努力が必要なのですが、もしこれらが完全に実行できれば、「コースの品質を落とさずにコストを削減する」という理想は決して不可能ではなくなるはずです。

(6)人件費を削減する

常に大きなテーマとなる人件費は、管理費の中でも比重が大きく、この削減は重要課題ですが、明らかな品質低下を抑えながら、最大の削減をすることがポイントになります。例えば、人員を15人から10人に減らした場合、5人分の労働力が減るわけですから、その不足分を何らかの方法でカバーし、品質の低下を防がなくてはなりません。しかも、当然のことながら、費用のなるべくかからない方法を選ばなくてはならないわけです。そこで、人件費削減については、常勤の社員数を極力抑えた上で、不足分を他の手段、例えばパートや人材派遣の利用などに求めることが基本的な考え方になってきます。

労力の配分から見て、コース管理の中でウエイトの高い作業は、グリーンの刈込みとラフの刈込み、そして冬期のグリーンカバー掛けなどです。つまり、この三つを他の何らかの方法に頼ることで、従来よりも安く、しかも品質を落とさずに実施できれば、人件費の削減は大成功と言えるでしょう。

ラフの刈込みについては単純作業ということもあり、さらにシーズンも限られていることから、他の方法に頼ることも比較的容易なのですが、グリーンの刈込みと冬期のカーバー掛けは早朝や夕方遅くの作業であるため、その解決は非常に難しいのが実情です。

ラフの刈込み作業を減らす手段としては、ラフの芝草の生育を抑えることが考えられます。これには、肥料の施用を減じることと生育調節剤の利用が考えられます。しかし、両者ともにある程度の効果はありますが、同時にマイナスの影響もあります。例えば、肥料の減少は雑草の発生や病害発生、芝草の回復力低下といった新たな問題を抱えることになります。削減手段の選択に当たっては、こうしたプラス面とマイナス面、双方の兼ね合いを考えて、慎重に決定する必要があります。

グリーンの刈込みについては作業員の技術的な問題もあり、これもよく人員削減の障害として指摘されますが、これは毎日行う作業ということもあって、ある程度の手間と時間をかければ、パートやその他の手段で置き換えられる可能性はあります。