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芝生と共に半世紀 弊社の会長から芝生を愛する皆様へ

芝生の生産・管理・工事に半世紀携わってきた、プロのコラム
 482だより 2000年4月号

今回からしばらくは、芝生の種類にまつわる話題を取り上げて行きたいと思います。

以前にもお話ししましたように、当社は創業より「芝生」と関わる業務を行っておりまして、今後も当社が存続する以上、間違いなくこの「芝生」や「芝草」との関わりは継続されるものと思います。そして、それら芝草の中でも、これまで当社が専門としてきましたのが「寒地型芝草」と呼ばれる種類のものです。その代表選手とも言える芝草が、ゴルフ場のグリーンでお馴染みの「ベントグラス」です。

当社のスタートは昭和48年、例のオイルショックの年でして、ベントグラスのソッド(切り芝)生産とその販売を行っておりました。当時、日本には当社のようなベントグラスのロールによる販売は前例がなく、ゴルフコース建設ブームの中にあって、なかなかの好スタートを切れたように思います。

私とベントグラスとの初めての出会いは、昭和30年の学生の時で千葉県の学校の近くにあった我孫子ゴルフ倶楽部へ見学に行った時のことでした。ちょうどその頃、我孫子ゴルフ倶楽部ではベントグラスグリーンの播き直しを行っておりましたが、幸い、私が伺った時には既に播き直しを終えたところで、それは素晴らしい状態のグリーンを見学することができ、大きな感動を受けたことを覚えています。今の人から見れば、ベントグラスのグリーンはどこへ行っても見ることが出来ますし、珍しくも何ともないでしょうが、当時としては、大変なものを見たという感じを持ちました。ちなみに、この当時のゴルフ場数を調べてみますと、関東地方一都六県で16カ所(小金井C.C.、霞が関C.C.等)しかありませんでした。現在の600カ所と比較しますと、45年間という時代の流れの大きさを感じさせられます。

このベントグラスとはそれ以来の付き合いになりますが、私がしばしば、このベントグラスという芝草について思いますのは、「もし、この芝草がこの世に存在しなかったとするならば、ゴルフというスポーツがこれほど面白いものにはならなかっただろうし、また、これほど発展もしなかっただろう・・・」ということです。今のところ、グリーンの芝草としてはこれに勝るものは考えられませんし、同じくグリーンに使用される他の芝草(例えば高麗芝、バーミューダグラス等)にしても、あくまでもベントグラスの代用品ということであって、決してグリーンのメインの芝草にはなり得ないと思っています。それほど、このベントグラスという芝草は、ゴルフというスポーツにとって大切な芝草であり、ゴルフ業界にとっては、まさに「宝物」であると感じています。

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