HOME >> 芝生の情報館 >> 寒地型芝草の種類と特性

芝生の情報館

寒地型芝草の種類と特性
< 2016年09月27日更新 Ver.2.1 >

寒地型芝草の基礎知識

芝草には実に多くの種類(種)がありますが、それらは全て寒地型芝草(Cool season turfgrass)と暖地型芝草(Warm season turfgrass)の2種類に大別されます。注1

暖地型芝草が摂氏25度以上の暑い気候を好むのに対して、寒地型芝草は15〜25度程度の穏やかな気候を好みます。寒地型という言葉の印象から、よく寒さを好む芝と思われがちなのですが、決してそうした意味ではなく、暖地型よりは冷涼な気候を好む芝、寒さに耐えられる芝という程度の意味なのです。

寒地型芝草の魅力は、何といってもその葉色の美しさでしょう。淡い緑色の暖地型芝草に比べて、寒地型芝草のそれは実に鮮やかです。また、冬期であっても緑の葉色を維持できることから、エバーグリーン(常緑)の芝草としても利用されております。注2

注1:日本芝(和芝)と西洋芝(洋芝)という分け方もありますが、西洋芝=寒地型芝草ではありません。暖地型芝草であるバーミューダグラスなども西洋芝に含まれます。

注2:寒さの厳しい地域では葉色が落ちますので、良好な緑を保つためにはシート掛けなどによる防寒対策が必要です。

代表的な寒地型芝草の種類

寒地型芝草には以下のような種類があり、それぞれに異なる特性をもっています。ゴルファーには馴染みの深いベントグラス(俗にベント芝と呼ばれることもあるようです)もこの仲間です。※()内は英名です。
Agrostis クリーピングベントグラス(Creeping Bentgrass)
※非常に低い刈り高にも耐え、軟らかな葉質から、ゴルフ場のグリーンに広く利用されています。寒地型芝草ですので、本来、温暖な地域には不向きなのですが、近年の管理技術の進歩により今や沖縄のゴルフ場でも通年使用されています。しかし、その維持管理は非常に難しくコストもかかるため、早晩、利用地域の見直しが必要になるでしょう。
コロニアルベントグラス(Colonial Bentgrass)
ベルベットベントグラス(Velvet Bentgrass)
Poa ケンタッキーブルーグラス(Kentucky Bluegrass)
※寒地型西洋芝の代表格とも言える芝草で寒冷地ではゴルフ場だけでなく公園や家庭の芝生として広く利用されます。わが国では北海道で広く利用され、ホームセンターでも販売されています。
アニュアルブルーグラス(Annual Bluegrass)
※和名はスズメノカタビラで、一般的には雑草として扱われます。アメリカではポアナ(Poana)とも呼ばれ、芝草の一種として扱われています。芝草として見た場合、耐暑性の低いことと白い穂が非常に多いことが欠点になります。
ラフブルーグラス(Rough Bluegrass)
※その学名からポア・トリビアリスとも呼ばれます。低刈りにも耐える性質のため、ベントグラスのグリーンに混ざる雑草として有名になってしまった不運な芝草です。
Festuca トールフェスク(Tall Fescue)
※名前の通り背の高い大型の草で古くは牧草用や緑化用でしたが、芝草用の優れた矮性品種が開発されるにつれ、芝草としても広く利用されるようになりました。寒地型芝草の中では最も耐暑性が高いのですが、その丈夫さゆえか、佐賀県では移入規制種として指定され、野外での播種、植栽が禁じられております。
ファインフェスク(Fine Fescue)
※細葉のフェスクという意味で、クリーピングレッドフェスクやチューイングフェスクなどが含まれます。
Lolium ペレニアルライグラス(Perennial Ryegrass)
※発芽と初期成長の早さが特長で、播種から比較的短期間で芝生をつくれる芝として人気があります。そのためオーバーシーディングにもよく利用されます。匍匐茎や根茎を持たないため単独ではソッドにならず、他の芝との混合か種子での流通になります。葉裏に光沢があるため、刈り込みにより美しい縞模様(ゼブラ模様)をつくれます。
イタリアンライグラス(Italian Ryegrass)
※アニュアルライグラスとも呼ばれ、一年生の芝草です。一年生という性質と発芽や初期成長の早さから主にウインターオーバーシーディング用として利用されます。
インターメディエイトライグラス(Intermediate Ryegrass)
※ペレニアルライグラスとイタリアンライグラスの交配種です。インターメディエイトとは英語で「中間の」という意味です。主にウインターオーバーシーディング用として利用されます。

代表的な暖地型芝草の種類

ご参考までに代表的な暖地型芝草についてもご紹介しておきます。日本芝と呼ばれ、わが国で古くから利用されているノシバ、コウライシバなどは全てこちらに含まれます。※()内は英名です。
Zoysia ノシバ(Japanese lawngrass)
※代表的な日本芝で、和名は「シバ」です。ゴルフ場、運動場、庭園、公園など様々な場面で広く使用されています。日本芝では最も耐寒性が高く、北海道南部にまで自生しています。
コウライシバ(Manilagrass)
※和名は「コウシュンシバ」といい、ノシバよりも小型の日本芝です。芝庭用としても人気の高い芝です。コウライシバにはやや大型のものからかなり小型のものまで様々な系統があり、小型のものをヒメコウライシバと呼んで区別することがあります。これをもとに改良された省管理向けの新品種もあり、手間のかからない芝生として人気を呼んでいます。
ビロードシバ(Mascarenegrass)
※非常に葉の細い極矮性の芝でキヌシバとも呼ばれます。植物学上の和名はなんと、「コウライシバ」で、非常に紛らわしいことになっています。沖縄の万座毛などに自生するのはこちらです。非常に葉が細かく成長も遅いので観賞用としては良いのですが、芝生としてはあまり利用されておりません。ただし近年、大学などで新品種が開発され、省管理に対応した修景・緑化向けの芝として注目されてきています。
Cynodon ギョウギシバ
※日本に自生する大型のバミューダグラスです。植物学上は下のバミューダグラスと同じですが、大型で粗く、芝草としての利用はされません。しばしば海岸や校庭などに自生しているものが踏み付けなどにより矮化して芝生状になっていることがあります。
バミューダグラス(Bermudagrass)
※ギョウギシバよりも小型の芝です。西洋芝として扱います。近年、ウルトラドワーフと呼ばれる超矮性の品種が開発され、ゴルフ場のグリーンに採用されるようになりました。すでに国内にも導入され、ベントグラスが夏越ししにくい地域のゴルフ場で採用されつつあります。
アフリカンバミューダグラス(African Bermudagrass)
※下のティフトン芝の親種として知られています。芝草としては利用されません。
ティフトン・バミューダグラス
※バミューダグラスとアフリカンバミューダグラスとの交雑種(ハイブリッド)です。ティフトン芝などとも呼ばれます。種子繁殖はできませんが、その繁殖力の強さから競技場などのスポーツターフとして広く利用されています。
Stenotaphrum セントオーガスチングラス(St. Augustinegrass)
※大型で芝生としては粗いものですが、九州・沖縄地方では広く使用されています。暖地型芝草の中では最も日陰に強い芝ですが、耐寒性が低いため地域を選びます。
Eremochloa センチピードグラス(Centipedegrass)
※新品種が発表され、近年、畦畔などの省管理を可能にする芝として脚光を浴びています。種子繁殖も可能です。
Paspalum シーショアパスパラム(Seashore paspalum)
※耐塩性の非常に高い芝で、ハワイ、グアムなどのゴルフ場ではグリーンにも使用されています。わが国でも沖縄のゴルフ場で見ることができます。

暖地型芝草と寒地型芝草との比較

  暖地型芝草 寒地型芝草
気象条件 温暖な気候を好む 冷涼な気候を好む
土壌条件 あまり選ばない 砂質土壌を好む
耐暑性 非常に高い(暑さを好む) 低い(高温多湿の条件を嫌う)
耐寒性 低い(冬期休眠する) 非常に高い
耐乾性 高い 一般的に低い(一部強いものもある)
耐病性 一般的に高い 一般的に低い
生育期の葉色 やや劣る(淡い緑色) 極めて美しい(鮮緑色〜濃緑色)
冬期の葉色 白く冬枯れする 緑を保つが、寒さが厳しい場合は葉色が落ち、生育が止まる
生育期の成長速度 一般的に遅め 一般的に速い
芝生の造成方法 張り芝が主、一部は苗播きや播種も可 播種または張り芝
芝生管理の難易度 比較的易しい 一般的に難しい(特に夏期の管理)
芝生管理の作業頻度 比較的手間はかからない こまめな作業が必要
芝生管理のコスト 低い 高い
代表的な芝種 ノシバ、コウライシバ、バーミューダグラス、セントオーガスチングラス、センチピードグラスなど ベントグラス、ケンタッキーブルーグラス、ペレニアルライグラス、トールフェスクなど
主な用途 公園、庭園、芝庭、ゴルフ場のフェアウェイ、ラフ、サッカー場ほか ゴルフ場のグリーン、ティー、フェアウェイ、サッカー場、競馬場、寒冷地の芝庭ほか

芝草の分類表

しばしば寒地型芝草のことを西洋芝(洋芝)と呼ぶ場合がありますが、本来は以下のような関係にあります。これを見ていただくと、寒地型芝草が西洋芝とイコールでないことがご理解いただけると思います。
  暖地型芝草
(夏芝)
寒地型芝草
(冬芝)
西洋芝
(洋芝)
バミューダグラス(ティフトンも含む)、セントオーガスチングラス、センチピードグラス、シーショアパスパラム クリーピングベントグラス、ケンタッキーブルーグラス、ペレニアルライグラス、イタリアンライグラス、トールフェスク、ファインフェスク
日本芝
(和芝)
ノシバ、コウライシバ、ビロードシバ、(ギョウギシバ)
※日本に自生する芝と意味でギョウギシバを含めることもあるが、一般的にはバミューダグラスとして西洋芝に含める。
該当なし