芝生の情報館

あなたにもできる!西洋芝の管理

1.芝生の刈り込み

1)刈り込み機械(芝刈り機など)について

<芝刈り機について>

芝刈り機(モア)には、大きく分けてプロペラ式回転刃のロータリーモアと回転巻刃タイプのリールモア(写真1)があります。両者の主な違いは芝を刈る方式(刈り刃の構造)で、例えて言うならば、前者のロータリーモアは芝を鎌で刈り払うようなイメージ、後者のリールモアは芝をハサミで切るようなイメージになるでしょうか。そうした違いから、両者にはそれぞれ適した用途があり、ロータリーモアは主に緑地や公園などやや粗放的な管理を行う芝生を能率よく刈る場合などに、リールモアは美しい刈り上がりが求められる高品質な芝生を刈る場合や、ゴルフ場のグリーンのように非常に低い刈り高で刈る必要がある場合などに使用されます。一般にお庭の芝生は美観重視となりますので、リール式のモアが適していると言えます。

  特 長 用 途 駆動方式
ロータリーモア 高刈りが可能(機種によっては50mm以上も可能)
作業能率が高い
緑地や公園等の芝生、ゴルフ場のラフなど エンジン
リールモア 低刈りが可能(機種によっては5mm以下も可能)
刈カスの回収が可能(集草バケットを装着した場合)
刈り込みの精度が高い
刈り上がりが美しい
庭園やテーマパーク、個人のお庭など美観を重視する芝生、装飾用の芝生、ゴルフ場のグリーン・ティーグラウンド・フェアウェイ、サッカー場や競技場等の芝生など 手動
モーター
バッテリー
エンジン

注)芝刈り機は機種によって設定できる刈り高の幅が異なりますので、購入する場合には必ず設定可能な刈り高の値と調整範囲を確認してください。一般には、細かく調整できる機種ほど価格も高くなるようですが、芝刈り機は最も頻繁に使用する機械ですので、ご予算の許す限り高性能な機種をご購入ください。

<お庭にゴルフ場のグリーンを作りたいとお考えの方へ>

「自宅の庭にゴルフ場と同じグリーンを作って、思う存分、パットの練習ができたらなぁ・・・。」

そうした想いから当社のベントグラスの購入を検討されるお客様も少なくないようです。確かに熱心なゴルフ愛好者ならば一度は夢見ることかも知れません。

もちろん、当社のベントグラスはゴルフ場のグリーンで広く使われているものですので、ゴルフ場と同じような環境で同じようなメンテナンスを行えば、ゴルフ場のグリーンと同じレベルの芝生にまで仕上げることは可能です。しかしながら、その場合には、ゴルフ場のグリーンで使用するモア(グリーンモア)と同程度の低刈り性能を持つ芝刈り機が必要になってきます。そうした機種は高性能である分、大変高価でもありますし、その性能を維持するには日常的なメンテナンスも必要になります。また、業務用の高性能なモアは通常、エンジン駆動タイプですので、作業時のエンジン音にも注意する必要があります。特に住宅地で使用する場合には作業時の大きなエンジン音は騒音問題にもなりかねません。購入を検討される際には、購入金額だけでなく、販売業者側のサポート体制や購入後のメンテナンス費用、使用時に発生する音の問題なども含めて、慎重にご検討いただくことをお勧めいたします。

なお、市販されているリールモアにはエンジンよりも静かなバッテリーやモーターで駆動する機種もあるようです。そうした機種で低刈り(5mm前後)可能なものがあれば、そちらを検討してみてはいかがでしょうか。

注)高性能なモアを購入すれば、取りあえずグリーンと同じような刈り高で芝生を刈ることはできますが、問題はその後です。ゴルフ場のグリーンのような芝生を維持するには、やはり、ゴルフ場のグリーンに近い高度な管理をしなければなりません。高価な芝刈り機を購入する前に、芝生造成後の十分なメンテナンスが可能かどうかをご検討ください。

<小面積の芝生や縁石付近の刈り込み>

小面積の芝生や庭のコーナー部分、樹木や縁石等の周りなどは、芝刈り機ではうまく刈れませんので、刈り込みバサミ(写真2)や電動バリカン(写真3)などを使用します。


写真1.電動式リールモア

写真2.刈り込みバサミ

写真3.電動バリカン

2)リールモアによる刈り込みの方法

  1. 刈り込みを始める前に、芝生の上に小石や枯れ枝、金属類などが落ちていないかを確認し、もしあれば全て取り除きます。
  2. 芝刈り機を取り出し、設定されている刈り高を確認します。刈り高は芝生の状態を大きく左右しますので、芝生の種類、用途、状態に合わせて適切な刈り高を設定します。当社の西洋芝における刈り高の目安は以下の通りです。
  3. 芝生の刈り高の目安
    ベントグラス<ゴルフ場グリーン並み> 5mm前後
    ベントグラス<芝庭用、観賞用、装飾用> 10mm〜15mm
    ビバターフ(ケンタッキーブルーグラス) 25mm〜30mm
    ジョイターフ (トールフェスク、ケンタッキーブルーグラス混合) 30mm〜35mm
    注)上記はあくまで芝の生育と芝生としての美観を考慮して当社で設定した一つの目安です。上記の数値よりも低くすることはお勧めできませんが、高くすることは可能です。刈り高を高くしますと芝はより丈夫になりますので、芝の生育が良くない(芝が弱っている)場合や夏越しが不安な場合には上記の目安よりも高い刈り高をお勧めします。
  4. 刈り刃の状態を確認したら集草バケットを芝刈り機に取り付けます。
  5. 芝生の端から刈り込みを始めます。少し刈ったところで、きちんと刈れているか、刈り高は適切か、刈りかすはバケットに収まっているかを確認します。問題がなければそのまま真っ直ぐに刈って行きます。
  6. 芝生の突き当たりまで刈ったら、芝刈り機の刃を浮かしながら(刈り刃の回転を停止できる機種では回転を止めます)芝生の外へ出し、芝刈り機を反対方向にターンさせます。芝生外に出せない場合には芝生内でターンを行いますが、くれぐれも芝を傷つけないよう注意して行ってください。
  7. 先ほど刈り込んだラインの端と数cm重なるように芝刈り機の位置を合わせ、逆方向に真っ直ぐ刈り込んで行きます。この時に先のラインと平行になるようにし、重なる幅を一定に保つようにして下さい。慣れない内は難しいでしょうが、上達してくるときれいに揃うようになってきます。
  8. 上記の作業を繰り返して芝生全面を刈り込みます。より美しく仕上げるのであれば、刈ったラインとクロスする方向での刈り込みを再度行います。
  9. 一通り刈り込みが終了しましたら、刈り残し部分がないかを確認します。特に芝生内でターンした場合には芝生の外周付近に刈り残しが生じやすいので要注意です。刈り残しがあればその部分を再度刈り込みます。
  10. 芝生全面をムラ無く刈り込めたことが確認できましたら、集草バケット内の刈りカスを処分し、芝刈り機を掃除します。刈り刃の部分は特に汚れやすいので丁寧に掃除しておきます。もし刃の切れ味が鈍いようであれば、次回使用する時までに刈り刃を研磨しておきましょう。なお、芝刈り機の刈り刃は鋭利な刃物と同じで非常に危険です。芝刈り機の掃除や整備を行う場合にはくれぐれも刈り刃で指などを切らないよう注意してください。

注)上記の手順は手動式リールモアを使用した場合を想定したものです。モーターやエンジンで駆動するタイプのモアを使用する場合、芝生を刈る時以外は必ず刈り刃の回転を停止しておきましょう。

<補足事項>

  • 芝の生育が安定している場合、刈り高はできるだけ一定にしてください。もし刈り高を下げる場合には、春先や秋口といった芝生の状態の良い時期を選び、数mm単位で少しずつ下げてください(グリーン並みの刈り高の場合には0.5〜1mm単位で下げます)。急激に刈り高を下げますと芝の成長点を刈ってしまい(軸刈りといいます)、大きなダメージを与えてしまします。芝生が黄化したり、最悪の場合、枯死してしまうこともありますのでくれぐれもご注意ください。
    ※暖地で夏越しが心配な方は、上記の目安にこだわらず、気温が高くなったら刈り高を上げてください。それだけでも夏越しできる可能性は随分と高まるはずです。
  • 寒地型の西洋芝の場合、気温が15〜25℃の時に最も生育が活発になります。芝の成長が盛んになりましたら、出来る限り頻繁に刈り込んでください。芝が伸びてから刈り込むというのではなく、間隔を決めて定期的に刈り込むと良いでしょう。
  • 刈り込みを行う頻度は年間管理計画内の刈り込み回数を参考にしてください。寒地型西洋芝の場合ですと、成長期間中はどの芝種であっても最低、週に1回は刈り込みが必要です(生育盛期は週2回以上必要です)。※ベントグラスの芝生をゴルフ場のグリーンのような状態に維持する場合には、ほぼ毎日刈り込みを行います。
  • 芝が伸びすぎたからといって一気に刈り込んだのでは軸刈り(葉先だけでなく茎まで刈ってしまうこと)となり、芝生を傷めてしまいます。一旦長く伸ばしてしまった芝は徐々に下げるしかありません。それゆえ、いかに頻繁に刈れるか(芝を伸ばしすぎないか)が刈り込み作業を適切に行う上での大切なポイントになります。
  • 一度に刈り込めるのはその時の芝の高さの2/3までです。つまり、60mmにまで伸びた芝を刈り下げるのであれば刈り高が40mm以上ならOK、それ以下に低く刈るのはNGということです。よって、もし刈り高30mmが上限の芝刈り機を使用しているのであれば、芝の高さが45mmになる前に刈り込む必要がある、ということになります。もちろん、これを厳守しなかったら直ちに芝が枯れるというわけではありませんが、刈り高の変更や刈り込みのタイミングを判断する上で非常に重要な目安となりますので、是非とも覚えておきましょう。
  • ロータリーモアを使用して刈り込みを行った場合、芝生の上に多量の刈りかすが残ります。そのまま放置しますと美観を損なうばかりか、後々サッチ層となって芝の生育にも悪影響を及ぼすことになります。刈り込み後はホウキ等を使って刈りかすを取り除いておきましょう。集めた刈りかすについてはお住まいの地域のルールに従って適切に処分してください。(写真4-6)
  • 写真4-6.刈りかすは集めて適切に処分してください。
  • 芝刈り機を水洗いした場合には十分に乾かしてから収納してください。特に刈り刃の部分は錆びやすいので、乾かした後に防錆潤滑剤などをスプレーしておくことをお勧めします。詳しいお手入れ方法については芝刈り機の取扱説明書をご参照ください。
  • 芝刈り機の刃は使用するごとに少しずつ摩耗し、切れ味も悪くなって行きます。切れ味の鈍い刃で刈り込みを続けますと芝の葉先を「切る」のではなく「引きちぎる」ようになり、芝に大きなダメージを与えてしまいます。刈り込みを行う際には常に刃の切れ味に注意し、少しでも切れ味が落ちたと感じたら刃の研磨(ラッピング)を行ってください。詳しい研磨方法等については芝刈り機の取扱説明書をご参照ください。

写真7.手動式リールモアと集草バケット