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482だより

2000年6月号

ベントグラスについては、これまで何度も取り上げてきましたが、今回は、そのベントグラスの中でも最も有名な品種である「ペンクロス」について述べてみたいと思います。

ベントグラスが日本に導入されてからというもの、ベントグラスは夏の暑さに弱いということが常識でした。それゆえ、本州以南の高冷地以外にあるゴルフ場では、夏にはベントグラスのグリーンは使えない、というか、使わないということが当たり前になっておりました。特に昭和30年代頃まではそうだったように思います。

その頃まで使用されていたベントグラスは、「アストリア」や「シーサイド」という品種でした。今ではこの品種を使用するゴルフ場はほとんどありませんが、それは1954年(昭和29年)にアメリカで「ペンクロス」という新品種が発表されたためです。

このペンクロスという品種は、発売以降、アメリカのみならずこの日本においても爆発的な人気となり、50年近くを経た今日でも、数多くの新設ゴルフ場で採用されています。日本の暖地にあるゴルフ場で、ワングリーン用として使われるようになったベントグラスの第1号だといえるでしょう。

余談になりますが、本州以南の高冷地以外にあるゴルフ場において、日本で最初にベントグラスのワングリーンを設けたのは、おそらくジャック・ニクラウスが設計したニューセントアンドリュースG.C.ジャパン(栃木県大田原市)だと思います。幸いにも、このゴルフ場では私共の生産したペンクロスのソッドをグリーンに採用していただきました。同ゴルフ場はその後、メンテナンスに種々のご苦労があったに聞いておりますが、現在も変わらずこのペンクロスを使用いただいております。

ペンクロスの第一のセールスポイントは耐暑性でした。この点は確かに従来のものと比べますと群を抜いていたと思います。また、ちょうどその頃から、わが国のベントグラスの維持管理技術が急速に進歩したことも、この品種の普及に拍車をかけたと思われます。そして、今ではペンクロスがベントグラスの事実上のスタンダードとなってしまっています。実際、私共の会社は、那須ナーセリーという名前のごとく、ベントグラスのソッド生産からスタートしたわけですが、当初からしばらくはペンクロスのみを唯一の商品として販売してきたほどです。

それにしても、一つの品種が、発表されてから50年弱もの長年に亘り重宝がられ、未だに多くの需要があるという例は、他の作物などを見ても極めて稀なはずです。正に驚異というしかありません。ペンクロスの登場以降、実に多くの新品種が登場しておりますが、実績でペンクロスを越えることはできませんでした。今後も品種改良が進み、優れた品種も数多く出てくることでしょうが、このペンクロスのような抜群の実績を残せるとはもはや考えにくいのではないでしょうか。

ペンクロスのターフ
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